菜の花学会2007in東近江市に参加して

8月5日・6日のうち、5日の学会に参加してきました。東近江市は琵琶湖の東に広がる田園地帯、一面緑のジュータンに覆われ、風が吹くと緑の波が田んぼを走っていく・・・美しい風景です。

茨木工科高校のBDFカート会場の駐車場ではBDFカートが5台用意され、ゴーカートではスピードを、ゴルフカートでは子どもたちが運転を楽しんでいました。茨木工科高校の環境部が製作中だったカートも完成、親子連れが運転を楽しんでいました。

BDFカート試乗体験菜の花学会には全国から200人を越える人々が参加、立ち見も出るくらいの盛況。豊岡市長中貝宗治さんの基調講演を皮切りに、各地からの事例紹介、最後は藤井絢子さんの司会でパネルトークと、4時間びっしり、中味の濃い内容でした。

「コウノトリとともに生きる〜豊岡の挑戦〜」と題した中貝市長の講演は、たくさんの貴重な写真や動画と軽妙な語りで参加者を引きつけました。野生のコウノトリが絶滅、長い年月をかけ、試行錯誤の中からようやく人工飼育に成功し、野生に返す・・・しかし農薬まみれの田んぼではコウノトリは生きていけない。農家の理解を得ながら農薬を使わない農業を広げる試みが始まった。

コウノトリと共に生きる豊岡市コウノトリは大型の肉食の鳥、食物連鎖の頂点に立つ。従ってコウノトリが生きていける環境は、虫や小動物が豊富に存在する、自然が豊かな環境でなければならない。それは当然ながら人間にとっても好ましい。問題は環境にいいことが経済的に成り立つのか? 無農薬での米作りが可能なことを農家に示すため、様々な取り組みが始まった。アイガモによる除草、カエルが害虫を食べてくれる映像を見せる・・・環境配慮型農業への助成金を活用しながら、少しずつ無農薬栽培の田んぼを広げていった。
自然に帰したコウノトリのつがいからヒナが育ち、最近巣から飛び立った。自然の中での産卵は42年ぶりのこと。ようやくコウノトリと人間が共生する風景がよみがえった! 

コウノトリを野生に返す実践は、地域に元気をもたらした。コウノトリの郷自然公園や文化館は観光の目玉になり、コウノトリを見て、城崎温泉に泊まり、但馬牛のステーキを楽しむコースは好評で、無農薬栽培のコウノトリ米は高値で売れ、かばんのロゴマークも人気。環境にいいことをすれば儲かる・・・豊岡ブランドが地域に活気と誇りをもたらした。子どもたちが特に熱心で、地元で採れた米のおにぎりを置いてほしいとコンビニの店長に直訴する動きも。学校給食にも2ヶ月に3度コウノトリ米を使用することに決まった。

事例報告では、茨木工科高校の生徒たちもBDFプラントの研究成果を発表。非常に専門的な内容で、各種のコンテストで入賞するほどのレベルの高さ。ゴルフカートの成作にも成功し、生き生きと前向きに研究している姿に好感を覚える。

松下電器グループでのBDF作戦も興味深い内容。社員食堂の廃食油を回収してBDFにし、物流部門のトラックに利用することから始まった取り組みは徐々に全社的に広がり、社員の家庭の廃食油も定期的に回収、ガソリンスタンド経営の油藤商事と提携して大規模に展開、出入り業者にも呼びかけるところまで広がりを実現。他にも秋田県立大学が、地元農家と連携しながら、ローコストのBDF生成ノウハウを研究しているのも興味深かった。

パネル討論でも事例報告があり、静岡県立磐田農業高校教諭の環境に配慮した農業教育が活気を感じた。菜の花栽培から搾油まで、生徒と共に実践研究を行い、地域農家に刺激とヒントを与える成果をもたらしている。ここでも生徒の自ら学ぼうとする積極性がよい循環を生み出している。農業高校で学ぶ生徒たちは、地域の小学校に先生となって環境配慮型農業を教えに行く。小学生に教えるためにはしっかり勉強する必要がある。必然的に前向きな姿勢になる・・・まさしく生きた教育の循環が実現。「いまや時代の先端が農業高校・工科高校! 普通高校は何をしているのか!」との言葉が印象的だった。

BDFの品質、農家への助成制度、バイオエタノールによる穀物価格上昇など、菜の花プロジェクトにとっての課題は山積だが、珍しさの時期を越え、実用化段階に入ったが故の課題であり、克服すべき障壁が高ければ高いほどエネルギッシュになる藤井絢子代表はますます元気、頼もしい限りです。豊岡は豊岡モデルで答えを出しつつあります。皆さんもぜひそれぞれの地域で魅力的な答えを出していってください」との豊岡市長の言葉が会場参加者に強いメッセージを伝えた。さて箕面はどうするか・・・私たちも問われている。
2007年8月5日  菜の花プロジェクトみのお  坂本 洋